<声明> 「日米貿易協定」の拙速な批准に断固抗議する

 

<声明> 「日米貿易協定」の拙速な批准に断固抗議する

 

 去る124日、参議院本会議において、日米貿易協定およびデジタル貿易協定(以下、本協定)が自民・公明・維新各党などの賛成で可決・承認されました。衆議院に続いて、多くの問題点を十分吟味することなく、わずかな審議時間で強引に可決した政府・与党の暴挙に対して、私たちは最大の怒りをもって断固抗議します。

 私たちは、本協定についてかねてから次のような問題点を指摘してきましたが、これらについては審議を通じて野党議員や参考人が厳しく指摘し、また多くの国民からも疑問視されてきました。

 

1.本協定の内容は、わずか5か月の秘密交渉によって日米首脳間で合意されました。日本政府がトランプ政権におもねって一方的に譲歩したのではないかと言われていましたが、国会審議でも野党が求めた資料を提出せず、質問にも正面から答えないなど、政府の対応は不誠実を極め、疑問は払拭されないどころか、いよいよ深まりました。

 

2.農畜産物の市場開放、特に牛肉については、関税引き下げに加えてセーフガードが事実上無力化されることなどで輸入が急増し、国内生産に重大な悪影響を及ぼすと予想されます。そのうえ、「アメリカ合衆国は、将来の交渉において農産品に関する特恵的な待遇を追求する」とされ、コメなども含め、さらなる関税削減・撤廃に道を開いています。

 

3.工業製品については、TPPで約束されていたはずの日本製自動車・同部品の関税撤廃は無期限に先送りされ、さらに米国が「安全保障上の」理由で追加関税や数量規制を発動する可能性を払拭できていません。

 

4.こうした米国に対する特別扱いは、日本政府が重視しているはずの世界貿易機関(WTO)のルールに違反するもので、国際的な規範からの無原則的な逸脱です。

 

5.デジタル貿易協定では、「デジタル製品に関税をかけない」「消費者データの国境を超える移転の自由を認める」「プログラムのソースコードなどを開示請求してはならない」など、日米のデジタル企業に有利なルールをとり決めました。これは、今後世界のルールづくりを進めるうえで悪い先例になります。

 

6.私たちがとりわけ重視しているのは、本協定発効後、4か月以内に新たな交渉が始まることで、アメリカ側はすでに22項目にわたる「対日交渉目的」を明らかにしています。これは事実上の日米自由貿易協定(FTA)交渉であり、このまま進めば、農業だけでなく、食の安全や医療・保険、公共調達など国民生活の広い分野が、アメリカのいいなりにつくりかえられてしまいます。

 

 私たちは、本協定の批准をただちに撤回するよう求めます。また、新たに始まろうとしているFTA交渉にも断固として反対します。

 本協定に反対する私たちの運動は、短期間の取り組みにもかかわらず、国会周辺の行動への子ども連れのお母さんたちの参加やSNS上での情報の拡散・共有など、これまでにない広がりを見せました。私たちは、こうして生まれた繋がりや経験を新たな力に変えて、これからも新自由主義的「自由」貿易に反対する運動をねばり強く続ける決意です。

 

2019126

TPPプラスを許さない! 全国共同行動」実行委員会